終末と、始源と/まーつん
のだ゛
神は大儀そうに立ち上がると 浜辺へと降りて行った
海は鏡のように凪いでいた これから何が起こるのか 海は既に知っていた
神は言った
゛愛しき者達が死んだ
忌まわしき者達も死んだ
その全てが 等しく偉大な存在ではあったが
彼らが自らの価値を 正しく顧みることはなかった
美しい絵画を前にして 額縁しか目に入らぬ者のように
彼等は 愛に盲目だった゛
神はそこで一息つくと 空と海と 太陽とを 順繰りに見まわした
゛お前達 すまないが 今一度、私の試みに付き合ってくれ
私は 今一度、命の始まりを刻み直そうと思う゛
神は片手をかかげて
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