なまえのない、/itukamitaniji
うな。記憶は忘れるんじゃなくって、取り出せなくなるだけなんだって。
彼女の思いを変えたものはなんだっただろう。彼の夢を奪ったものはなんだっただろう。
いつの間にか歌わなくなった彼女や、いつの間にか絵を描かなくなった彼。きっとおんなじようなことなのかな。
理由なんて何処にもなくって。徐々に薄れていって、そうこうしてたら、いつの間にか見えなくなっていた。そしてそれで大丈夫になった。
諦めや心変わりとは違う、正体も明かさないまま、心の片隅に潜む名もなき優しいモンスター。恐ろしくも思えるけど、実はそいつはいつでも君を守っている、一番の君の味方。
誰もが誰も、一番大好きなものだ
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