推定無罪/鯉
数時間前に死んだ呪術師の膚から
化粧が剥がれ落ちて生ッ白い足が出てくる。と、
おれはかの女が化粧だったのではないかと思っている
毛細血管ごと飛び出して皮膜はすべて用済みのようにドブ川へ。解けたぐにゃぐにゃのよくわからない紐の群れが海に向かっていく。海の向こうにはきっと終わりがあって、そこではカップルたちが手を繋いでいる。絡めて、もうセックスもキスもし尽くしてしまったから、互いの手を握る以外に手段がない。
呪術師はその中によくわからない紐の群れとして浮遊している
あいつの名前をおれは知らない
ここに転がった抜け殻からは血が消失している
キャトルミューティレイショ
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