ビリー・ザ・キッドに贈る/まーつん
 

ビリー
何者なんだ お前は
憎しみの 奴隷に過ぎなかったのか
不安に 駆られていただけか
場違いなパーティーから 逃げ出すために
邪魔な命を押しのけていたに すぎないのか

ビリー
お前は誰よりも早かった
その子供のように無垢な手に
忽然と現れる六連発
それは唯一の友であり
お前の心を語り得るのは その銃声だけだった

ビリー
別の世界に生きていたお前
己を中心に回る世界に
だがその歯車は軋み出し
やがて時計は 歩みを止めた

ビリー
お前が死んで良かった
若くして この世から退場してくれて
ああ 良かったと 心から思いはするが

それでも

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