萩尾望都私論その4 十年目のスペースストリート/佐々宝砂
、「萩尾望都は時をとめて夢のなかに入った」と結論づけている。この時代の萩尾望都は確かに時をとめようとしていた。私はそれを否定しない。しかし時は流れるのだ。どうあがいたって流れるのである。
『(タダとフロルの)スペースストリート』という可愛い小品連作のなかで、フロルはダーナ・ドンブンブンのように明るく脳天気に破天荒に、恋人タダやアカデミーの学友たちを困らせまくる。フロルはいろいろ考えているようで、実はあんまりものごとを深く考えてはいない。まだ女になると決めたばかりで実際には女になっちゃいないのに、「何人こどもをつくろうか?」などとあほーなことをタダに言ってみたりする。まったく可愛い。可愛いがあ
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