空のみなしご/まーつん
 
 黒い斑点となって滲む

大人たちは しゃべり過ぎる
言葉が多過ぎる 多過ぎる言葉が
大事なものを 押し流してしまう 馬鹿だ
それらはあるとき だしぬけに むなしい空気の振動から
まがまがしい実体に姿を変えて 自分たちに襲い掛かってくる
今日それは 空から降り注ぐ 爆弾の雨となって 街を焼き尽くした

どんな神を信じるか
どんな肌の色を持って生まれたか
どんなやり方で豊かさを求めるか
どんな道筋を辿って 幸せに至るのか

本に書き 旗に縫い付け プラカードに掲げて
腰に下げる剣のように 大人たちは武装する

馬鹿だ

爆風にさらいとられた 利き腕のシャツの袖
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