空のみなしご/まーつん
 

むき出しの肌にやけどを負った 右肩をかばいながら
少年は歩く 円形の広場 中央の噴水に立つ時計塔を見上げて
約束の時間を確かめる まだ早い
穴だらけにされた 石畳の広場の真ん中で
奇跡的に無傷のまま 立ち尽くす黒大理石の時計塔が
世界が焼け落ちても なお途切れることのない時の流れを
少年に告げている

あいつが来るにはまだ早い あと十五分ってところか
学校のクラスメート いたずらを楽しむ仲間
もしもまだ 生きているとしたら
約束通り 用水路に釣りに行こう
この干乾びかけた街の真ん中に走る 一本の 青く澄んだ水の流れ
お前と連れ立って 石を積み上げた その岸辺に腰を下
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