空のみなしご/まーつん
 
たぎる住民たちの苦悶に 手をかざし 暖をとっている

少年は 放然とした面持ちで 歩き始める
行きつけのレストラン その看板は大きく傾き 
ガラスの吹き飛んだ入口を 斜めに塞いでいる
まるで来るものを 拒むかのように

煙草の吸い口をかみつぶしながら あの太鼓腹の店主が
ハンバーガーの肉を フライパンの上でひっくり返すことは もう二度とない

少年は くすぶる街の中を歩く
くじいた足首を 引きずりながら
その脳裏に 綴られていく思い
誰の目にも触れることなく 時の風に
儚く吹き消されていく 少年の思い

大人たちは みんな馬鹿だ
カラスの姿が 視界のあちこちに 黒
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