荒地/HAL
去っていったものは
はじめから出逢ったことのないものと
想えばいいこと
背をむけたものは
はじめから背だけを見せていたと
想えばいいこと
そしてぼくは幼い頃に戻るだけ
独りぼっちだった幼い頃に戻るだけ
それくらいは受け入れる覚悟は持っている
そうでなければ独りぼっちで生きてはいけない
それが己の定めなら
ただ抗わず受け入れるだけのこと
天にまで逆らうほどにぼくは傲慢じゃない
ぼくに与えられた世界が荒地でしかなかっても
ぼくは喜んでその荒地を歩きつづいていく
その荒地に入り込んでくるものは殺す意思で追い払う
冷たい奴だと
心ない奴だと
言う
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