便り/こしごえ
 



橋の上から 川を見つめていると
川の水音がザァァァッとして
風は音に染まり
ますます
澄んでゆく悪意の無い視線
そんなに見つめないで、冷める風光の翳り
(あの遠さの)
命の万有引力よ
明日も知れず
ひかれあっている

自室の机のある北側の窓辺から見えるのは、
道路と杉林とすこしばかりの空。
今その道を通り過ぎるわかい
母親におんぶしてねんねしている赤ちゃん
の幼い姉が、何やら
林の方を指さして白い小花の
パァッ、とほほえんだであろうそれは
左から右へ(心地好い風と)消えてしまい

わたくしはもう、ここにはいないしかし
あちらに涼しい顔をして座っ
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