美香/「Y」
 
ね」
「悪気は無かった。多分、慣れていないせいだと思う」と昌は言う。
 
 翌朝、昌は美香からもらったチョコレートを食べた。美香にもチョコレートを勧めてみる。
 彼女は言った。「ありがとう。気持ちだけもらっとく」
 そして美香は、頬を赤く染めながら、白くてひらべったい腹を出し、脇腹に設えられたバッテリーに充電を始める。
 午前十時を過ぎた頃、ロボット研究所の職員が昌の部屋を訪れた。美香を連れ戻すために。
「済みません。想定外ではないのですが、部外者にここまで惚れるというのは、計算外でした」
「計算外」と昌は呟いた。「惚れっぽいんですか」
 職員は大きくかぶりを振る。
「報酬系の
[次のページ]
戻る   Point(4)