美香/「Y」
 
系の神経回路にバグがあるのかもしれない。反応が、あまりにも良すぎるんですよ」
 美香はベッドの上に正座して、なかなか動こうとしなかった。
 彼女は、明らかに怒っている。
「……帰るのが嫌だと言ったら?」低い声を出して職員に訊く。
「遠隔操作で電気系統を焼き切ることになるね」と職員が答えると、美香は舌打ちして、のろのろと立ち上がる。
「美香」
 昌は声を掛けた。「どうして俺に惚れたんだよ」
 美香の戸惑った表情を、最後にもう一度見てみたかった。
「人が人に惚れる時と変わりません」
 美香が返事をするかわりに、職員が首を振りながら呟いた。「ロボットも同じです。自分と合う相手かどうかを
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