眠らない街の眠らない人々/ブライアン
 
緒的になったのかもしれない、と。肩幅が広く背中の大きい彼は、見るからに土建関係の仕事をしている。顔も厳つく、近寄りがたい。男は自分の風貌を知っていた。骨ばった顔を両手で挟み強くたたく。音が街に響く。周囲のマンションの窓にはまばらではあったが、まだ明かりがともっていた。まだみんな寝てはいない。男は弁当の入ったビニール袋を手で持ち、歩き出す。家に帰ってからしなければいけないことを考えていた。

 電車は終着駅まで来た。最寄駅まで行く電車はすでに終わっていた。終着駅でバスに乗り換える。バスは多くの人を乗せていた。出発の時間になっても乗客を希望する人の数は減らなかった。運転手は後方の扉を開き、乗客を後
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