恒常の異物/salco
 
体に意識も人格もありはせず、また死滅を培養で接いでいるだけの話だが、有限である生命の「永続」を行なう科学の意図に、
底知れぬ不気味さを感じたものだった。

 そこで今思うのは、アインシュタインは自らの「脳出し」を許諾していたか、ではなくカフカだ。
 草稿、日記、書簡は全て燃やせという遺志を頭から裏切られ、彼が作家として名を成すそのアイロニー、彼自身の意思によらず、また与り知
らぬ後世に共有されている位置づけ。死んでしまえばなるほど知った事ではないにせよ、未完の作品群はプライヴァシーであったという意味に
於いてヒーラ細胞と同等だ。
 あの不思議な頭が結実させた難解なページをめくっている
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