白い砂利/HAL
なく
自分が予想だにしない展開で劇は進み幕が降りてくる
もちろんカーテン・コールはない
烙印を捺される者に一切の例外はない
誰かに自身の裸身を曝け出して
見た者が驚きの声を発し逃げ出したならば
それはすでに自分に烙印は捺されていると云うことだ
そしていつか烙印を捺された者は
誰にも振り返られることもなく
別れの末路には焼かれ残った骨は砕かれ
その骨に生は宿ったまま河原の砂利に混じって撒かれる
本当の幸いなる死が訪れ聖なる埋葬をされるまで
ずっと唯の白い砂利となって
この世界の歴史に或る種の厳然たるもの言わぬ
痛苦の苦い記憶として存在しつづける
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