akane/kaz.
明るい褐色の空が氾濫して
茜って、こんな色だっけ、
と呟いた、
違うわ、もっと濃い、暗い色よ、
と返した、
二人は、今でも、記憶の片隅
開けてはいけない扉の向こう
夏が終わり、教室の窓辺からの景色
交尾する蜻蛉のつがいが
盛りを過ぎた水たまりのプールで戯れる
夜が、近づくまでの束の間を
味わう僕たちは、
コンドームのようにぬるい
薄汚れた陽だまりの中が一番心地よかった
屋上に来た、
僕は立ち上がり、射精した
屋上から飛散したスペルマが
下を歩くカップルの顔に掛かる
驚嘆の声を上げ、君は
昇天した、雨を降らせながら
そうして、すっかり濡れた誰かの、
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)