〆〆〆〆/鯉
れていくのが見えた。おれはようやく涙が出てきて、でもそれもすぐに彼女に吸い込まれていって、なんだか笑えてきて、太った女の馬鹿らしさに、いじらしさに、爆笑しながらないているのかなきながら爆笑しているのか区別の付かないくらいに、とにかく、壁でも叩きながら、肥えた女を見ていたのだ。肥満症の女はもう口から腐った「あいしてる」も出さないで、無言でそのあいを広げていた。彼女の皮膚を覆っていたのはあい液だった、その真ん中にあるのが真空なのかなんなのかはどうともまたどうしても知れないが、ただ彼女の皮膚にはあい液がはべらされていた。おれは小さくなって、もう意味を成さなくなった部屋の扉の前で、じっと彼女のあいを見つめ
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