〆〆〆〆/
 
つめていた。彼女のあいは、最後におれを食べてしまうのか、食べてくれるのだろうか、それだけを見ていろと、喫茶店の中でともだちが言っているような気がした。彼女のあいはベッドをのそりのそりと食べ始めた、醜く血痕のついた鉄の足から順番に、横たわった布団は退けて、ぎちゅにりゅぎちゅにりゅ音を立てながら、咀嚼していた。そのたびに彼女のあいは広がっていって、もうあの心臓の大きい女は、このよくわからないどろどろでしかないのだと思って、おれは小さく笑って、彼女にそれが吸い込まれていくのを感じることさえ吸い込まれてしまった。おれは彼女のあい液を掬ってみようと手を伸ばした、けれどあい液はおれの手をすり抜けるだけで、一向に、おれの手を掴んで中から彼女が笑みを浮かべることもなければ、憎しみの表情で引きずり込むこともなかった。いつの間にか彼女はおれを完全にすり抜けて、空間を犯し始めていた、部屋の梁がぼろぼろと落としたのも残さず食べて、彼女のあいは外に向かった。おれは一畳ばかり残された床の上でじっと爪を噛んでいた、きしきし言った欠片が、空しいくらいに響きながら落ちていくのがよく見えた。
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