文学の夜/MOJO
 
している。つまみは乾き物だけ。客層は、お堅いところでは、俺のような建築会社のサラリーマンから、珍しいところでは、SMクラブの女王様や、全身タトゥーの謎の白人女まで様々である。
 その店に、俺はよく、2ちゃんねる創作文芸板で知り合った者たちを連れて行った。それは、オフ会の二次会であったり、三次会であったり。
 そんなある夜、コテハンHが、たちの悪い酔っ払いに絡まれてしまった。その酔っ払いは俺の従兄弟で、歌舞伎町を根城にしている遊び人。常連のひとりで、酒癖が悪く、酔うと誰彼構わず絡む。その夜は運悪く、Hが標的になってしまった。
「こら! 何しかとしてんだ、てめーはよー!」
 カウンターに座っ
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