ねじれてゆく鴇のアンテナ/北街かな
命起源の樹形について思惟を交換し
全身を串刺しにされる衝動に泣き続ける
甘い、あまい歌詞みたいな
あの音に似ていると思った
誰かが すこしだけこっちを向いて
孤独だ と、叫んでいたのを聞いた
先細る鴇のクチバシみたいな朱く長いアンテナがその声を受信している
うなだれてゆく泥水の雑音に身を隠し
曖昧な実在性の継続時間にかかる解をもとめ
急いで額を触れ合った
口を閉ざして心音を聞きあった
互いのぜんぶを要求するかのような交感を
脅迫を
していた夏の悲鳴のような
陽の爆発と凋落は止まらず
うらぶれの帰途にある亀裂に足をとられて
それでもなお
電磁ハ短調交
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