ねじれてゆく鴇のアンテナ/北街かな
調交響基地局に秘密の伝言を打ち続け
送信しました
送信しました
捻じれた悲鳴を私は受信していた
まるで遺言だ
まるで告白だ
透明に張り詰めていたころの
決して協和せぬ二重奏だ
電装思念塔が逆時計をゆらめかせ
潰れてゆく血液の空に転送している
おそろしい、その声を
どこかの誰かにとどくまで増幅し
誰かのなかで捻じ切れるまで止まない
血管を潜り抜けてゆく超長波が送信されているんだ
朱色の細いアンテナが飛ぶ
鴇のクチバシは折れかかっている
か弱い叫びを咥えてアンテナは日暮れを羽ばたいてゆく
孤独な音の飛翔が、ほら、また
血液を散らして飛び交う、音
共愛と嘆きを謳う悲鳴、血まみれの鴇たちの声
何者かが、孤独だ と声を嗄らしていたのを聞いたのだ
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