オイフォリ/Lily Philia
 
飛びわたってゆく。
のいばらの生け垣の
その向こうがわには
花の香りに満ちた小さな庭が広がっていて
うっすらとにじんでゆく
波打ち際のような花びらの群生が
溢れたひかりに浚われ
ひかれては
よせあっている。
そこへうちあげられたあたしは
流木に似たからだを横たえ
やがて焼かれたあとの骨のようになってしまう。
その安らかすぎる絶望のなかで
ただひかりのつぶが
ぷかり、ぷかりと
浮かんでは消えてゆく様をみていた。
ひとつのこらずこぼさないように
のいばらのしげみから浮き上がる
白い花びらとひかりかがやくものをながめていた。
頬に刺さる芝の
みどり色の切っ先

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