童心/Lily Philia
せたまま待ち続けていたい
あたしが
生まれる前から
ずっとずっと
あらゆるその
小さかったであろう掌に
握られた名前と日付に
思い煩っていたい
父にだっこされた瞬間
近づいた
果てない空の底ひ
幾重にも織られ
生き埋めになっていった
あたしの声に
気づくものもなくて
胸許ではがゆく
また無闇に
擦り抜けていった花びらの
かぐわしい残り香を
まだ憶えている
ささやかな祈りを
今日も捧げている
母のよこがお
そのやわらかな目許へ
寝そべった疲労の
意味さえ
曇った硝
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