童心/Lily Philia
た硝子へ指で書いた文字を
逆さからいたずらに読みあげ
狂ってゆく振り子の音が
ただそこにあっただけのあの日
(誰ともなしに話し掛けてくる
男の子のような嵐がやってくる)
あれは
かみさまの通り道だ
薙ぎ倒された
木々たちの行進だ
水たまりの反射は
幾本の針のようだ
そうらカミナリの北上だ
あおじろい視界が
たわんだ
たわんだ
ゼラチンの大気だ
嵐の日には
雲がへんてこな色にまたたいて
たくさんのものが
かなしくてうれしくて
不思議だったね
はずれの雲が
いっせいに
海の色に染まるのをみた?
いつもね
旅をす
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