男色を歌ふ歌ども(二千十一年十一月四日金曜日)/攝津正
 

中年になりて初めて恋愛の甘く酸ひしを思ひ知りたり
恋こゞろ露はに晒すわれゆゑに友達はみな笑ひてゐたり
歌を詠むわれは一人のgayなれば愉しきことども詠まんと誓ふ
友去りて「安心」出来ぬわれ残り生きる困難増幅させる
書を読めど「安心」できぬわれゆゑにおろかなれども死に憧る
本当の「安心」こそは死ぬことと思ひ定めて数十年経つ
生きてゐる間は真の「安心」は来るはずもなしと思ひ定める
不安ゆゑ「安心」出来ず騒ぎ立て家族も友も皆を困らす
落ち着かぬわがおもひこそをかしくて気狂ひなりと云はれるも可なり
子規よりも死期を悟れるわれなれど恋してゐるから暫く生きん
秋でさへ欝
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