男色を歌ふ歌ども(二千十一年十一月四日金曜日)/攝津正
へ欝に沈めるわれゆゑに逢瀬の時のみ待ち焦がれてゐる
週一度彼氏と会へる嬉しさに全て投げ出し逢瀬に備へる
船橋に通ひ来たるは彼氏ゆゑわれは待つ身で期待に焦がれる
二和の地田舎ならんと思へども此処より他に逢へる場所なし
船橋の自宅で彼を待つわれは年増のgayで艶気などなし
「可愛いね」彼氏云へどもわれはただ鏡を覗きて頭(こうべ)を振れり
四季などに関はりはなく抑鬱に沈めるわれを誰か救はん
ひきこもるわれに逢はんと通ふ彼感謝のみあり悦びのみあり
ひきこもるわれに彼氏が出来たのはこの世の奇蹟と有難がりてをり
ひきこもるわれに希望はなかれども生きてゐるのは確かに感ず
働かぬわれは死すべきものなのか自問すれども答へなどなし
人はみないつかは死ぬと云ふとてもいつ死ぬのかが特に気になり
恋人と暮らす未来を夢見ても現実だけは常に厳しき
彼氏との二人暮らしはもしかして夫婦にも似て倦怠するかも
夢に見る愛情生活いつ来るかやはり来ぬかと気を揉みてゐる
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