男色を歌ふ歌ども(二千十一年十一月四日金曜日)/攝津正
てをり
船橋の変人と云ふわれなれどただひたむきに暮らしてゐるのみ
船橋を愛すわれゆゑ都会には出ずに地元で静かに暮らす
船橋のホモセクシュアルとはわれなりと名乗れどそれもさして意味なし
父母にカミングアウトが出来ぬゆゑ窮屈なれど我慢してゐる
友人が訪ねてくるのを待ちてゐるその名前こそミヤチカならん
ミヤチカの小説を読み設定の巧き憎さに微笑みてゐる
思想をば営みてゐるわれなれど豊かな考へまるで浮かばず
思想家を名乗りてゐても虚しくてなんの実りもありはせぬゆゑ
われはたゞ青少年を好めれど中年男も味わひ深し
中年の恋も密かに燃へあがり見へぬ炎が立ち昇りてゐる
中
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