疲労薬/「Y」
 
そりとね」
「ご主人にですか」
 そうよ、と彼女は言い、左の唇の端を意味ありげに歪ませながら微かな笑みを見せた。
「原因はご主人の働き過ぎですか」
 こっそり、という言葉に不審を抱きつつ、更に彼女に質問を投げかける。
「そうね。そういうこともあるかもしれないけれど」
 そこで彼女はなぜか口をつぐみ、何かを考えているような表情をすこし見せたあと、不意に言葉を吐き出した。
「夜のおつとめが、激しすぎるのよ」
 これまで聞いたこともない服用の理由を耳にして呆然としている私に向かって、追い打ちをかけるように彼女は言った。
「何度も求めてきて、体がもたないの。この店の主人の、内縁の妻なんで
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