疲労薬/「Y」
 
健康に見えたりすることはないだろうか。私には高木の過剰な若々しさが、どこか人工的な、まがい物じみたものに思われてならなかった。
 最初の一週間ほどの間、私は高木から様々な薬の効能について教わった。
 疲労薬についての簡単な説明を受けたのも、その時のことだ。
 高木の説明に不可解な点は無かったが、薬瓶に貼り付けられた「疲労薬」という文字から受けた違和感は、私の中に残り続けた。
 ひと月ほど経つと、高木が店に顔を出すのは開店前の一度だけになった。
 店に来るのは常連客が多かった。
 彼らの中に、特に強く記憶に刻みつけられている客が一人いる。
 園田という名の三十絡みの女だ。
 彼女は月
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