眼球を刳り貫き放り投げるバイト/かいぶつ
 

休み時間に教室の隅でひたすら
少女マンガを描いているような
ちょっと根暗っぽくて、髪に艶のない
垢ぬけない子なんだけど
放り投げた右目を追う左目の眼光の鋭さと
刳り貫かれた右目の空洞の深いコントラストに
妙に惹かれるものがあって
その子が出勤の日は
自分のステージが終わった後も舞台袖に残って
彼女の投げる姿だけは
必ず見てから帰るようにしている。
最近見たステージは二週間前の金曜日で
その日も彼女は
特別なパフォーマンスをすることもなく
いつもどおり数回投げた後
舞台を降りようとしたときに
外国人の客がブラボー!
とかなんとか言ってから
彼女に近寄ってチップ
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