眼球を刳り貫き放り投げるバイト/かいぶつ
 
翌日の朝には劇団を辞めて
その夜には投げてたっていう
相当な変人で
彼はローマの貴族が着るような
金属製の鎧に森高千里とか
獅子舞にピンク・フロイドとか
衣装とBGMの不和と衝突にポリシーを持った
いちばん集客力のある中年親父なんだ。
噂によると彼の投げる右目は義眼で
いくつもステージ用の眼球を持っているらしい。

もう一人は僕とそれほど年の変わらない
学生の女の子で
彼女のスタイルってのがとても硬派で
音楽は鳴らさずに
その日着てきたTシャツやなんかのまま
ひたすら壁に刳り貫いた眼球を
投げては拾うっていう
スタンダードなもので
彼女の見た目を例えるなら

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