詩作行為の倫理学/葉leaf
 

 泥濘の道を来た(中略)植物の匂いをへばり付け
(「倦怠」GT0504)

これらからは、一方井が、平穏な生活意識からは無意識的に隠蔽されてしまう生々しく直視しづらい対象を採り上げる、という選択のスタイルを持っていることがわかるだろう。
 描写のスタイルについてはwhatの抽象度によってhowとwhatの可分性が問題となったが、選択のスタイルについてはhowの抽象度によってhowとwhatの可分性が問題となる。
 選択の仕方が抽象的なもの(例えば「生々しさを感じさせるように」など)であれば、その選択のスタイルによって選ばれる対象の範囲は広い。この場合、選択のスタイルと選択される対象
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