詩作行為の倫理学/葉leaf
 
eology)がある。カントによれば道徳法則とは、無条件に従われるべき普遍的な定言命法(kategorischer Imperativ)であり、何らかの目的を持つ仮言命法(hypothetischer Imperativ)ではない。道徳的な行為とは、普遍的に妥当する規範に無条件に従うことであり、何らかの価値を目的としてなされるものではない。カントの立場は義務倫理学の典型である。
 さて、ここで詩作行為に目を転じてみよう。特定の詩作スタイルがカント的な意味で普遍性を獲得するということは難しいとしても、詩人が特定の詩作スタイルに無条件に従うという事態はそれなりに起きているのではないか。何らかの目的を
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