ぼくは電話で話したかった/天野茂典
知らんふりだ
それでよしとしているわけではないが なかなか人の作品を
認めようとしない 許容範囲が極めて狭くなるのだ
自分の作品をたなにあげて あげあしとりになってしまうのだ
主義主張もあまりききいれない フレシキフルではまるで
ないのだ 単なるひとりの頑固じいさんになってしまうのだ
たとえば詩壇というものがいまでもあるとするならば ぼくは
だれともつきあっていないのだ
若い頃は詩壇からあんなにちやほやされたのに 仲間の詩人も
大勢いたのにぼくはぼくから手を振っておさらばしたのだ
いまでは同人誌も詩集も贈られてこない ぼくが返事を書かな
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