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うに陽は沈んでいるが、脳みそはどんよりと曇っていて、しかも近々なくなるらしい冬の星の澄んだのがより明らかにして、裁判官の木槌の音に似た風情で彼を苛んでいる。
 部屋の中には靄がかかり、よくわからない英字のプリントされたTシャツがほんのりと下水臭く壁に吊るされていた。彼は悪態を吐いた、ような気がした、しかし壁に反響されるべき声はどこにもなかった、吸殻の落ちた布団からミミズみたく這い出して台所へ向かった、カラスの鳴き声がした。
 冷蔵庫を開ける。麦茶の底に麦の溜まったのを取り出して、濁る目玉をむりやりに開きながらコンロの火を止めた。グラスは、不快ではあるものの昨日使ったものが残っている。煙草くさい
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