/鯉
似ていた、パッチワークが少しばかりうそ臭かったので彼は寝小便を隠すように手で足元を隠してしゃがんだ、陽は河に映されたのばかり現実らしい、郵便配達のカブの轟きはしばしば警官の原付の音に似ていて不良少年は身構える、音もなく、音もなく、音もなく、ともだちが渡した原型の三角形に手を犯されながら、子供たちは空を見上げている、飛行機、鳥、スペースシャトル、UFO、彗星、太陽、月、いずれでもなくて、子供たちの眩暈は熾烈化し、金星の煌々が脳の中身をとろけさせ、音もなく、音もなく、音もなく、水の一滴が、子供たちに、落ちる。
あがる
吐き気を堪えながら薬缶が悲鳴を上げるのを彼は聞いていた。
とうに
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