秋が来おった/一 二
いというのに
何故か夜風が身に染みる
バイト続きで疲れた体
明るい家々の窓からは時折笑い声が聞こえ
奥さんが
帰ってきた子供や旦那さんに出したのであろう
手料理の良い匂いがする
変に凝ったものではなく
栄養バランスと健康を考えて作ったのだろう
羨ましい
俺は、バイト先で買った
半額シールに更に半額シールの張られた弁当の
ラップを破り
食うだけ
独りで
こんな毎日が続く
この秋を乗り切っても
次にやってくるのは冬
恋人に
配偶者に
親に
子供に
とにかく愛する人のために
贈り物を選ぶ人々を尻目に
一緒に手を繋いで歩く人を尻目に
俺
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