秋が来おった/一 二
俺は自分の欲望を満たすためだけの買い物をする
「俺は自分の金は自分で全部使えるんだ
それが嬉しいんだ」
泣き言を自分に言い聞かせる
愛する人のために身を削るのは
利己的に生きるより
ずっと幸せなのだということに
愛情を惜しみなく周りに与えれば
空いた部分は幸せで満たされる
愛情を自分だけに向けて疑い深く生きていれば
大切に抱えているその愛情が
価値の無いものへと変質していく
己が生きていく上で約束したことを
俺は忘れてしまっている
それを死ぬまで忘れ続けるなら
俺は幸せにはなれないと気付いた
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