ビリジアン/水町綜助
「あの波のはじまりは
こんな夜、
あの海岸線に
たどり着いて
波打ち際に
足を浸して
思い出したように
サンダルを脱いで
素足をさらして
両腕をだらりと
呆然と眺めた
細波
なんて
隙間がなく
不均等で
始まりなく
規則正しい
うごきと、
音、
だろう
白い
重なりつづく
波形は」
やっぱり
黒?
と聞いてしまう
深い緑の海で
足元で終わりを迎えながら
まだ引き返して
どこへ漂うの
月の満ち欠けがこれに
関係あるなんて
嘘みたいだろ
でも牝鹿の腹の
うつくしい波には
たしかに
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