ホームステイ/北村 守通
きなどは、ルームミラーやバックミラーにも映り込んでくるので、私は安全を確保するために、新しい視界になれなくてはならなかった。つまり、彼女の視線は決して私を捉えることはなくても、彼女の行き先はしっかりと私を捉えて離さなかった。
同居人が増えるということ、このこと自体はさしたる問題はない。多少、個人の嗜好の違いによるぎくしゃくとした悶々とした空気が発生し、切れない痰に呼吸が苦しくなるようなことはあるにせよ、そうした欠点を差し引いても楽しめることもある。けれども、それはお互いが干渉しすぎることのないための程よい距離というものが確保できた上での話なのであって、四六時中付きまとわれている今の状況において
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