殺人の否定/salco
 
けない兵士が一定の割合で出るという
第二次世界大戦後、アメリカ軍は
条件反射化の徹底を図り射撃訓練を逐次改善して来たが
それでも尚
死地で命令系統から脱落する「臆病者」を駆逐できないという
この不思議な現象は無論
宗教観念や思想信念の縛めによるのではない
恐らくそれより深い精神域に
「チキン」の自己相対化とも言うべき制御が局面的反応として起こり
状況の如何では揺るがぬ為だと考えられている
通常、この共感作用は
「ヒューマニズム」などという理念に含まれてしまうが
共食いへの拒絶反応、回避行動は文律ではないのだ

すると、自己保存の放棄
倫理以前に、「殺せぬ」人の潜在意識
[次のページ]
戻る   Point(5)