塔/itukamitaniji
 

涙は渇いていて
擦りむいた足を払ったら
また走り出した
星は飴玉になって降り注いで
道に張り付いている
ビルは一枚の板でまるで
ドミノみたいに倒れ始めてる
僕の影は剥がれて
僕を追い掛けて来る
捕まったものは石にされて
そこら中石像だらけ
足がもつれて転んでしまった
もうダメだって呟いたら
誰かが手を掴んで
起こしてくれた
誰だっけ?
何にも思い出せないけど
もう一度走り出す勇気を絞って
ようやく塔にたどり着いた
扉を開けて中に入る
螺旋上の階段を
何日間だろうか
いや高々数分だろうか
上りつづけた
ようやく空が見えて
見下ろした街
まるで壊
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