夢の見える部屋/リンネ
 
た空には腫れぼったい積乱雲が浮かぶ。いつのまにかあなたは都会の雑踏を歩いていて、蟻の行列のように流れる人々の列に引き込まれてしまう。

「単なる比喩ではなく、ほんとうの蟻のように黒光りした人間たちが、町の隙間という隙間から這い出てきました。それがしだいに町中を、まるで舞台を終わらせる暗幕のように埋め尽くして、そうしてある時点から今度は反対に、引き潮のようにあらゆるものをさらいながら、瞬く間に一点へ収縮していきました。つまり、あの笑う太陽の口の中へなのですが、その最後の光景は、夢から覚めたわたしたちの願望による、いささか安易にすぎる想像なのかもしれません。」

――そう、夢というのはきっと、
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