夢の見える部屋/リンネ
と、本当に見た風景と、見たいと思った風景とが、自分でもそれと気づかないくらい絶妙に混ざり合った、裂け目のない液体のようなものなのでしょう。
「ちょうどここに注がれた、このカフェオレのように?」
(二人は笑いながらティーカップを覗き込む)
(ここに、インタビューをするものとされるものがいる。テーブルに置かれた白いティーカップの中で、いつのまに乳白色の渦を巻き始めたのは、むろん、われわれのよく知るありきたりなミルクなどではない。つまり、そこに回転している白い液体は、かれらが見たというあの太陽の夢の姿なのである。非常にゆっくりとした調子ではあるが、二人はその小さなティーカップの周りで、中途半端にヘリウムの入った風船のように、上昇するとも下降するともせずに漂い始めていた。いつのまにか個室は夢で満たされている。思えば笑う太陽とは、少しも不思議な存在ではないのだ。二人がなぜだかそう了解できたとき、すでに破裂した風船が二つ、カフェオレの中で夢を見るように窒息していた。)
(二人はティーカップの中からこちらを覗いている)
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