手紙/佐倉 潮
いつまでたっても上手く開けられなかった菓子包みをあなたは、つるりときれいに解いていたね。そうして僕は、クッキーを手に入れたりした。あなたは模様の付いた包装紙を四角くたたむと、冷蔵庫のとなりに差し込んでいた。
夏の散歩には必要だと言って、麦わら帽を手渡してくれたね。僕はサングラスが欲しかったんだけど、それをかけたらおまわりさんに連れてかれちゃうよって、あなたは僕を嚇かした。あの帽子はきっとまだ、物置の隅にあるんだろう。だって捨てる理由がないからね。古くなることが捨てる理由にならないあなたは、全くおかしな人だ。
先日新聞で、ポール・ギルバートのインタビュー記事を読んだ。ギターが上
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