手紙/佐倉 潮
が上手くなるコツは? というインタビュワーの問いかけに対し、彼曰く
「ずーっと練習することさ。ずっとね。あえて言うなら、ドラムの仲間を見つけるといい」
なるほどそれで、あなたが一昔前僕に言った「あたしは駄目な親ね」の意味がよく分かったよ。だって僕は休んでばかりの人生で、今だに何もしでかさずいて、かたやあなたは、僕が休むことについて、たいそう満足しているだけの人だった。
明日、1号線づたいに僕は帰るけどこうして、なんだかんだで、連絡を取るのがおっくうなんだ。僕の打ったこの手紙をあなたが読むことはなくても、あなたの家の必ず開いている窓の一つを知ってるからさ、問題はないのさ。僕は勝手にお茶漬けでも食べておくよ。
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