朝帰り/はだいろ
 
それから、
彼女の部屋へ行った。
作ってもらって、
食べたもの。
土曜日、
キーマカレー。
日曜日の昼、
焼うどん。
日曜日の夜、
煮込みハンバーグ。
ぼくの好物を聞くので、
ぼくの好物を、
見よう見まねで作ってくれた。
そして、
みんな、
びっくりするくらい、
美味しかった。
だいたいが、
ちょっとお店で味見しただけで、
材料や調味料を当てるのだから、
元々、
絶対音感ならぬ、
絶対味覚のようなものを、持っているのかもしれない。
ぼくはわざとのように、ぐうたらに、
笑点なんかぼんやり見ながら、
彼女がトントンとお料理する音を、
聞いていた。

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