春の数え方/mizu K
的に支持されたてっぺんに
わたしは立っている
それから
わたしは歩く
その細密に構築された細工ものをかさこそと
少しずつ崩しながら
かすかな足あとをつけていく
森の外へ向かって
やがて
おなかをすかせたおおかみが
あなたのあしあと
かぞえています
ひい、ふう、みい、よ、おいしそう
ぬきあし、さしあし、もうすぐ、がぶりん
おなか、ぺこぺこ、よだれが、じゅるーり
そんな歌をうたいながら
風下から
おなかをすかせたおおかみが
あなたのあしあと
かぞえています
あなたのせなかのすぐうしろ
気をつけて
気をつけて
そんなそよ風の警告を
聞きながら
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)