春の数え方/mizu K
 
的に支持されたてっぺんに
わたしは立っている

それから
わたしは歩く
その細密に構築された細工ものをかさこそと
少しずつ崩しながら
かすかな足あとをつけていく
森の外へ向かって
やがて

おなかをすかせたおおかみが
あなたのあしあと
かぞえています
ひい、ふう、みい、よ、おいしそう
ぬきあし、さしあし、もうすぐ、がぶりん
おなか、ぺこぺこ、よだれが、じゅるーり
そんな歌をうたいながら
風下から
おなかをすかせたおおかみが
あなたのあしあと
かぞえています
あなたのせなかのすぐうしろ
気をつけて
気をつけて

そんなそよ風の警告を
聞きながら
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