春の数え方/mizu K
ら
わたしは歩く
風のことばが正しければ、よし
ただの気まぐれでも、よし
彼らのことばはいつもどこか不確かで
彼女らのことばはいつもちょっといいかげんで
それらは長くかたちを維持できないで
かけらが散らばる
森の地面にばらばら散らばる
木もれ日に差されてきらきらひかる
それもいずれは分解されて土に織り込まれていく
意味をうしなって誤読をさそう
ためにだれかをまどわす文字のかけら
森のしかけたささやかな罠
季節は春だ
だれかが噴くように生まれ
だれかははじけるように死ぬ
すぐ背後には獰猛な夏が
気配をうかがっているから
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