赤鼠、白狐 ver. 2/mizu K
いる、そのようなこころもちがしてよくみようとして体をのりだすその機をねらわれた、ねらわれた、見事にねらわれた、頭を殴られて気を失った、つ、失って気がついた、気がして目をひらいているはずだが油が膜をはったのか見えない、みえない、はっきりとみえない、視界の外からなにかがのぼる、しゅるしゅる、しゅるしゅると、水蛇のようだ、溶けていくようだ、花火がうちあがる、見上げた夜の、花浴びして、とりどりに花弁をしぼったように、したたる、した、した、落下していくぬれた火花の、くくる、くるくる、くくる、くるくる、橋の欄干からも無数に伸ばされた手、ただ手、白い手が、無数にひらひらとのぞいた手のひらから、花が放たれる、くく
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)